どうも、バーチャルブロガーの燕谷古雅(つばめや こが)だ。
春はVR演劇界隈が盛り上がっているそうだな。みんなは、演劇の大会「劇王」のVR演劇版である「劇王Virtual」を知っているかな?
この「劇王Virtula」は、本家「劇王」の後援のもと開催されている、れっきとしたVR演劇大会なんだ。短い上演時間の中で、それぞれの劇団が個性あふれる演劇をぶつけ合う・・・まさに演劇の真剣勝負といった感じだな。
今回は9団体が参加し、それぞれ工夫を凝らした素晴らしい演劇を披露していたんだよ。VRならではの演出や空間表現も多く、「こういう見せ方があるのか!」と驚かされる場面もたくさんあったぞ。
そこで今回は、私が実際に第二回「劇王Virtual」の予選Group3を観た時のレビューをお届けしよう。VR演劇に興味がある人はもちろん、「演劇って難しそうだな・・・」と思っている人にも、ぜひ読んでほしい内容だぞ。
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劇王Virtualとは?
「劇王Virtual」とは、劇作家協会東海支部のプロデュース、愛知県長久手市の主催により、2003年から開催されてきた短編演劇大会「劇王」のVR演劇版である。ルールは本家「劇王」と同様で、出演者は3名以内、上演時間は20分以内。観客とゲスト審査員の投票によって勝敗が決まるというシビアな形式だ。まさに”演劇のスポーツ”と呼ぶにふさわしい大会である。
歴史ある短編演劇の大会「劇王」の元祖である、日本劇作家協会東海支部の後援のもと実施されている。
VRSNS・VRChat上で開催し、現実の照明や舞台を緻密に再現した会場で、アバター姿の役者が演技を披露する。VR演劇のガチンコバトルが繰り広げられる展開になりそうだ。
9組のVR演劇団体が集結!
「第2回劇王Virtual」では、9組の気鋭のVR演劇団体がエントリー。いずれも一癖二癖のある作品ばかりで、大きな注目が集まっている。
5月9日(土)に予選大会、5月10日(日)に決勝本戦を実施する。
Group #1 MC:匠
- プランドヴィー「人生分岐堂」
- こーひーしがれっと「つぎはぎファミリー」
- こてんぐれん。「楽しい隣人」
Group #2 MC:癒色えも
- Atelier SNOB「刑法十七文字」
- ミーアはニャーとなく。 「裏垢Chatter」
- A-Literary Works.「僕の劇団にようこそ」
Group #3 MC:日ノ本マイ
- 藤結弦「Act:er」
- VR劇団ユアクト「うそつき」
- ねるクリエイト「カワイイアバタ〜バトル」
有料チケット制とワールド連動
前回「劇王Virtual2025」は無料で観覧できたが、今回は新たな取り組みとして“有料チケット制”へ変更された。チケットはVRボードゲーム向けECサイト「VazaR(バザール)」にて販売されており、購入時にはVRChatのアカウントとの連携が必要となる。

この仕組みで使われているのが「アクセストークン」だ。VRChatアカウントを紐づけることで、購入したユーザーのみがワールドのロックを解除できる仕様になっている。パスワード入力やユーザー名登録といった手間が不要で、そのままスムーズにアクセスできるのが特徴である。
単なる有料化ではなく、“VRChatと外部サービスを連携させたチケットシステム”としても興味深い試みだ。VRイベントのマネタイズや運営モデルとして、今後の参考になりそうな部分も多い。
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予選Group3を観に行ってみた

5月9日、実際に「第2回 劇王Virtual」予選Group3の演目を観劇し、その感想をレビューとしてまとめた。どの作品も個性が強く、しっかり印象に残る内容だった。
事前チェック




劇王Virtualでは、ただ演劇を上演するだけではない。本番中にトラブルが起きないよう、公演前には綿密な事前確認が行われる。
舞台照明の当て方、使用するアバターやパーティクルの表示確認、大道具・小道具の表示チェックなど、確認項目はかなり多い。さらに、ギミックが正常に作動するか、音声が問題なく再生されるか、演者の同期ズレや回線トラブルが起きていないかなど、VRならではの不安要素も細かく確認していく。
演劇大会という一発勝負の場だからこそ、予期せぬトラブルはどうしても避けて通れない。その分、事前チェックの中の空気はかなり張り詰めており、緊張感が漂っていた。
だからこそ、すべての確認が無事に終わった瞬間、「よし、これでいける」という安心感が一気に広がる。舞台裏の緊張感まで含めて、”VR演劇のリアル”を感じさせる場面だった。
演目①:藤結弦「Act:er」


「俳優になりたかった医者」と、「俳優になりたかった患者の少女」が出会うーーそんなストーリー構成が非常に印象的だった。
特に良かったのは、舞台転換のテンポ感である。シーンの切り替え方がスムーズで、まるでテレビドラマを観ているかのように情景をイメージしやすい。照明演出も丁寧で、場面ごとの感情表現をしっかり引き立てていた。
また、登場人物の設定が分かりやすく、感情移入しやすい点も大きい。役者の演技にも熱量があり、感情がぶつかるシーンでは思わず引き込まれてしまうほどだった。
ストーリー、演出、演技のバランスがうまく噛み合っており、20分という短編ながら満足度の高い作品に仕上がっていた。
演目②:VR劇団ユアクト「うそつき」


本作は、いわゆる”普通のVR演劇”とはかなり毛色が異なる作品だった。巨大なスマートフォンが登場したり、舞台転換が独特だったりと、演出面のクセがかなり強い。
特に印象的だったのは、パーティクル表現を多用していた点である。そのぶん事前チェックも相当大変そうで、本番前からスタッフや演者の緊張感が伝わってきた。
物語は、絶交したままの幼馴染が”万引き動画”に映っていたことをきっかけに始まる。「仲直りしたい」という思いから調査を進めていくのだが、真相に近づくたびに関係がさらにこじれていくーーそんな不穏な展開が続いていく。
そして終盤、予想外のどんてん返しが炸裂する。詳しくは伏せるが、「そう来るのか!」と思わず唸ってしまうようなインパクトがあり、かなり強烈だった。
現実の舞台では難しい、”VRだからこそ成立する演出”を真正面からぶつけてきた作品であり、VR演劇の可能性を感じさせる一本だった。
演目③:ねるクリエイト「カワイイアバタ〜バトル」


タイトルからしてインパクト抜群だが、内容もかなりぶっ飛んでいた。
冒頭は、師匠と弟子によるシリアスなバトルものかと思いきや、突然”カワイイ”を競う謎のコンテスト会場へと場面転換。しかもステージの雰囲気が絶妙に場違いで、その瞬間に完全に笑いのツボへ入ってしまった。
こういう勢いとカオス感は、VR演劇における”お笑い要素”としてかなりアリだと思う。
一方で、本番中に演者の音声トラブルも発生。一瞬「アドリブタイムに入ったのか?」と思ったが、途中で中断が入ったことで少しざわついていた。しかし、そうしたハプニング込みでも演者たちはしっかり立て直しており、最後まで走り切ったのは見事だった。
“自分のカワイイ”を全力でアピールしながら、破茶滅茶なバトルを繰り広げる展開は勢い抜群。演者たちの熱量も高く、観ていて純粋に楽しい作品だった。
最後の投票タイム

全演目終了後は、観客による投票タイムへ突入。気に入った作品に、1人1票を投じるシステムである。
「どの作品が面白かったか」「何が印象に残ったのか」「どの作品が心に刺さったのか」ーー観客は制限時間内にそれぞれのエリアへ移動し、最も人数を集めた作品が決勝進出となる。
実際にGroup3を取材していて感じたのは、どの作品も方向性バラバラなのに、それぞれ強烈な個性を放っていたことだ。そのため、「どれに投票するか本当に迷う」という観客もかなり多く見受けられた。
そhして、この激戦を制して決勝進出を決めたのは、演目③・ねるクリエイト「カワイイアバタ〜バトル」であった。勢いとインパクト、そして会場の空気を持っていった強さが光る結果だったと言えるだろう。
最後に総評

今回は、筆者が実際に「第2回 劇王Virtual」予選を観劇した際のレビューを紹介した。
どの演目も印象に残る場面が多く、パーティクル演出や大道具の切り替えなど、「これがVR演劇なのか!」と思わされるほど表現の幅広さを感じられた。現実の舞台では難しい演出も多く、VRならではの強みがしっかり活かされた印象である。
その一方で、突然のトラブル対応の面については、まだ課題が残っているとも感じた。音声トラブルや同期ズレなど、VRならではの問題は避けきれず、観客側からシビアな目線が向けられるのも無理はないだろう。
また前回はアーカイブ配信が用意されていたが、今回は有料公演および決勝戦の生配信という形式だったため、アーカイブが存在しない点は少し惜しく感じた。とはいえ、”お金払って体験するVR演劇”だからこそ、その場限りのライブ感や緊張感には特別な重みがあったとも言える。
今回の「劇王Virtual」は、大きな事故もなく最後まで完走できたこと自体がまず大きい。だからこそ、今後はさらに技術面や運営面の改善が進み、より完成度の高いイベントへ進化していくことに期待したい。
VR演劇は、チャレンジ精神そのものが詰まったコンテンツである。だからこそ、試行錯誤を重ねながら、これからも進化し続けていくのだろう。
第2回劇王Virtual
開催日時
予選:2026年5月9日(土) 22時00分開演
決勝:2026年5月10日(日) 22時00分開演
会場
総合芸術劇場Dramapia(VRChat内ワールド・PC専用)
主催
一般社団法人メタシアター(@MetaTheater_VR)
運営
劇王Virtual運営委員会
後援
日本劇作家協会東海支部(@jpa_tokai)
協力
株式会社バーチャルパーティー(@virtualparty_co)
VRC放送局(@vrc_tv)
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