【コラム】なぜ私たちはVRChatをきっかけに、現実世界でモノを買い、旅に出るのか?具体例から紐解くメタバース経済圏

なぜ私たちはVRChatをきっかけに現実世界でモノを買い、旅に出るのか?
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どうも、バーチャルブロガーの燕谷古雅(つばめや こが)だ!

VRChatをはじめとするVRSNSを楽しんでいて、「あ、これ現実でもほしいな」「この場所、実際に行ってみたい!」と思ったことはあるかい?

「バーチャル空間の経済」と聞くと、アバターや衣装の購入、高スペックなPCやVR機器の揃え込みといった「デジタル空間を豊かにするための消費」を真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。だがな、最近の調査では実に興味深い実態が明らかになっているんだ!

株式会社Vと博報堂の「メタバース生活者ラボ®」が発表した調査レポートによると、VRChatユーザーの15.6%が現実世界の旅行やイベントにお金を使い、14.6%が現実世界用の服やアクセサリーを購入しているという驚きのデータが出ているんだよ。つまり、バーチャル空間での体験が、巡り巡って現実世界のサイフを動かしているというわけだな。

画像はPR TIMESより引用。

というわけで今回は、具体的な例を挙げながら、「オンラインからオフラインへ」ともたらされる購買行動の面白さについて、分かりやすく噛み砕いて解説していくぞ!

VRを通じて「現実世界で行った・買った」のきっかけは?

VRChatをはじめとするVRSNSやメタバースがきっかけとなり、いまや現実世界の経済が大きく動き始めている。

本記事では、「VRSNS・メタバースと現実経済」の繋がりについて、個人的な視点から捉えた身近な具体例を交えて紹介していく。経済やマーケティングといったテーマは一見すると、堅苦しく聞こえるかもしれないが、その中身は私たちが日々のVRSNSライフで体験しているワクワクするような出来事ばかりだ。

今回は、ユーザー目線を通して、VR空間から現実世界へともたらされる新しい購買行動のヒミツを、分かりやすく噛み砕いて解説する。

コミュニティの口コミがリアルに波及する

VR空間内での消費が現実世界へ波及する原動力。それは、企業からの一方的な広告ではなく、ユーザー同士の横のつながり、つまり「コミュニティによる口コミ」だ。

VRChatへの参入で注目を集めているのが、アンドエスティ(.st)やBEAMS、ダイアナ(DIANA)といった大手アパレル企業だ。これらの企業の上手いところは、単に「バーチャルショップを開いてアバターの服を売る」だけでなく、ユーザー主導のイベントやコミュニティへ積極的に飛び込み、コラボレーションを展開している点にある。ファッションショーや交流イベントを通じ、ユーザーはブランドの持つ魅力やセンスに直接触れることができる。「あの憧れの企業が、自分たちのカルチャーを応援してくれている」という心理的な距離の近さが、結果としてリアル店舗やECサイトへの足がかりになっているのだ。

ユーザー同士が自主的に行っている情報交換も面白い。VR空間でありながら、現実の生活を豊かにするライフハックの共有しているコミュニティも存在する。

「VRC美肌部」では、スタッフや参加者たちが、自分が実際に使って良かったおすすめのコスメ(化粧品)や、着心地の良い衣類などをリアルタイムで紹介し合っている。「アバターを美しく着飾るように、リアルアバター(現実の自分)も磨きたい」というモチベーションが、現実での購買を後押ししてくれる。

「ガジェット愛好会」では、VR環境を快適にするための機材から、日常使いのガジェットまでを網羅するコミュニティだ。ここでは、メンバーが実際に購入したガジェットのリアルなレビューを熱く語り合っている。

このように、アバターを通じて信頼しているフレンドと空間を共有し、身振り手振りを交えながらリアルタイムで生の意見を聞けることが大きなメリットであり、現実世界での購買意欲を引き起こす強力なきっかけになっている。

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友達と遊んだ体験が購買意欲を刺激する仕掛け

VR空間内の企業ワールドがもたらす効果は、単に「商品を眺めて終わり」ではない。そこには、現実のショッピングモールやECサイトには絶対に真似できない、バーチャルならではの「友達と遊んだ体験の記憶」をベースにした強力な仕掛けが隠されている。

従来のネット広告や特設サイトは、「いかに商品の魅力を説明するか」を重きを置いていた。しかし、株式会社Vらの調査によると、ユーザーが企業ワールドに求めているのは「現実ではありえない空間や演出(52.2%)」や「フレンドがワイワイ楽しめること(53.2%)」だ。

このユーザー心理を完璧に捉え、数々の大ヒット企業ワールドを手掛けているのが「株式会社 往来」だ。彼らの仕掛けは、商品を売る前にまず「アトラクションとしての楽しさ」を提供し、そのプレイ体験の中に自然な形で商品の特徴を取り入れている。例えば、モスバーガーの「MOS BURGER ON THE MOON」では、月面でハンバーガーを作る厨房体験ができ、フューチャーショップの「FUTURE 20th SQUARE」では、6つの仮装店舗で商品作りの体験などが楽しめる。ここは一人で行く場所ではなく、フレンドと誘いあって訪れる「遊び場」として機能しているのだ。

バーチャルでの体験が記憶に残り、現実の消費に直結するのは、楽しかった思い出と商品のイメージが脳内で強く結びつくからだ。実は、筆者もこの仕掛けに見事にハマった。VRChatのモスバーガーのワールドを訪れたのがきっかけで、現実でも「月見フォカッチャ」を注文したり、フューチャーショップのワールドを訪れた際に「伊藤久右衛門」のアイスが気になってポチったりしたことがある。「広告を見たから」買ったのではなく、「あの時、あの空間でフレンドと楽しく過ごした思い出」の延長線上にその商品があったから買ったのだ。

この「体験から生まれる購買意欲」は、食べ物にとどまらない。時には、人生を左右するような大きな買い物さえも引き起こしている。

メタバース界隈で非常に有名な話として、日産自動車のワールドがきっかけで、現実の軽電気自動車「日産サクラ」を本当に新車で購入したユーザーが現れた。このように、数百万クラスのリアルな購買行動へ繋がったケースもある。

「何を伝えるか」ではなく、「誰とどう楽しむか」。株式会社 往来などが仕掛けるVR空間は、友だちとのプレイ体験を通じて、ユーザーが自然とブラントへの愛着を深めていく、次世代の経済圏の姿を証明している。

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バーチャルマーケットがもたらす巨大な経済効果

VRSNS・メタバースにおける経済活動のお祭りであり、最も巨大な交差点となっているのが「バーチャルマーケット(以下、Vket)」だ。

ギネス世界記録にも認定されているこのイベントには、個人クリエイターだけでなく、数多くの有名企業が出展している。ここで注目したいのは、一般のクリエイターのブースではなく、「パラリアル」と呼ばれる企業出展ブースのワールドだ。お祭りのような非日常の空間で、企業の技術や商品に触れ、それが現実世界での「いつもの買い物」や「特別な旅行」を大きく変えるきっかけになっている。

Vketの企業ブースが面白いのは、高級品だけでなく、私たちの日常生活に密着した食料品や日用品のメーカーが多数出展している点だ。例えば大丸松坂屋では、豪華な3Dモデルのご馳走に触れることで、現実のお取り寄せグルメやギフトの購入に繋がっている。サントリーではブースやイベントを通じて商品の魅力を届けたり、ロート製薬がブースを通じてAmazonの期間限定商品の購入を促したりといった試みもある。これらのブースを巡ったことがきっかけで、現実のお店に足を運んだ際に「あっ、Vketに出ていた商品だ!」と親近感を覚え、数ある商品の中からそのブランドを指名買いするユーザーが続出しているのだ。

マウスコンピューターやPimax、NuNuPCなどのPC・VR周辺機器のブースは、物欲を爆発させるショールームとして機能している。ワールド内にリアルなPCやVRヘッドセットの3Dモデルが展示され、スペックを見るだけでなく、Vket限定の割引クーポンが配布されることも定番となっている。「Vket Real」などのリアルイベントで実機に触れられる機会を連動することで、「VRで気になり、リアルイベントで実物を確認し、クーポンを使って購入する」という完璧な購入ルートが確立されている。

さらに、Vketがもたらす経済効果は「モノの購入」だけに留まらない。「観光・旅行」という巨大なリアル経済を動かしている。

例えば富士急ハイランドのブースでは、ワールド内にアトラクションが再現され、リアルなイベントの宣伝が大体的に行われた。VRで体験したユーザーたちが、現実の遊園地に足を運ぶ現象が起きている。

そして何より大きいのが、「Vket Real」やユーザー有志によるリアルオフラインイベントの定着だ。「バーチャルで知り合ったフレンドにリアルで出会うために旅行する」という文化は、今やVRSNSユーザーにとって当たり前のライフスタイルになった。

Vketというメガイベントは、メタバース内の経済を潤すだけでなく、現実世界のさまざまな業界を巻き込む、文字通り「巨大な経済効果」を生み出し続けている。

Vketについての記事関連はこちらのカテゴリにまとめています。

ユーザーメイドのワールドが引き起こす”VRの聖地巡礼”

ここまで企業や大規模イベントの仕掛けについて見てきたが、メタバースの経済を動かす主役は、決して大企業だけではない。一般のユーザー(クリエイター)が個人の熱量で制作した「ユーザーメイドのワールド」こそが、現実世界の特定の場所を広く知らしめ、ファンが現地を訪れる「VRの聖地巡礼」という独自のムーブメントを巻き起こしているのだ。

例えば、北海道札幌市に実在するハンバーガーショップ「クラフターズ・キャンプ」のケースだ。VR店舗の来店キャンペーンも実施されており、実際の店舗へ足を運んで店員さんに「VRChatのワールドに行きました!」と伝えると(あるいは指定の条件を満たした画面を提示すると)、オリジナルステッカーが貰える試みが行われている。バーチャルでの楽しい思い出が、現実の店舗へ足を運ぶ直接的なきっかけを生んでいる好例だ。

東京・秋葉原にある「HUB秋葉原店(通称:秋HUB)」のケースでは、VRやXR関連の公式・有志によるリアルイベントの会場として度々活用されてきた。「VRChatの秋HUBで楽しんだから、今度は現実のHUBに集まって、みんなで飲みに行こう!」そんな流れがコミュニティ内で自然に定着した結果、現実の店舗はVRユーザーがリアルで集う、文字通りの”聖地化”となっている。

また、佐賀県にある「メルヘン村」のケースでは、公式マスコット「ドン・グリス」をはじめとする強烈な世界観が忠実に再現されたワールドが、SNSのみならずVR内で大きな話題を呼んだ。さらに、メルヘン村のスタッフによるグリーディングやライブなどのイベントをバーチャル空間で地道に開催したことで、認知度がさらに拡大。これがきっかけとなり、現実のメルヘン村にわざわざ足を運ぶVRユーザーが急増した。

バーチャルでの濃密な体験が「本物を見たい」「現地で同じ空気を吸いたい」という純粋な欲求に変わり、人々を現実の旅へと駆り立てる。ユーザーの手によって作られたワールドは、私たちがまだ見ぬ現実の魅力的なスポットへ手を引いてくれる、最も新しく、最も熱量のある「地域経済の呼び水」になっているのだ。

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自治体も大注目!VRを活用した地方創生と知名度向上

ユーザーの「聖地巡礼」という草の根の動きに呼応するように、近年では全国の自治体や地域企業が本格的にVRへ参入し、新しい形の「地方創生」や「その地域を応援しているファンの創出」に挑んでいる。

かつての自治体PRといえば、パンフレットの配布や動画配信が主流だったが、VRでは「その土地のカルチャーに日常的に触れてもらう」という、全く新しいアプローチが可能になった。

代表例を挙げるなら、沖縄のIT・エンターテイメント企業「あしびかんぱにー」が手がける「バーチャル沖縄」だ。これは民間主導でありながら自治体や地元企業と深く連携し、沖縄の魅力を世界に発信し続けている。国際通りや首里城のワールドを通じ、ユーザーたちが自主的に集まる「沖縄集会」といったコミュニティのイベントも盛んに行われている。これが「VRがきっかけで沖縄に行く」というリアルな観光需要を協力に後押ししているのだ。

また、神奈川県横須賀市が推進する「メタバースヨコスカ」は、自治体公認ワールドでありながら、ユーザーの文化に深く寄り添っている。ドブ板通りの再現ワールドや、名物であるスカジャンの3Dアバター衣装の無料配布で大きな話題を呼んだ。ユーザー主導のコミュニティとも積極的にコラボレーションを重ね、VRユーザーにとって親しみ深いブランドへと進化している。

近年では、VRChatに直接進出する自治体も増えている。新潟県三条市の「バーチャルSANJO」では、毎日開催されている「5分集会」というミニイベントを行い、コミュニティを巻き込みながら魅力を発信している。また、鹿児島県日置市が展開する「ネオ日置」は、クリエイターやユーザーを主役に据えたコンテストやイベントを定期的に開催している。

世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」の会場でも、静岡県の「焼津市」や「浜松市」などの自治体の出展が有名だ。例えば焼津市では、ミニゲームや様々なギミックで楽しめる展示を行い、地元の海産物や温泉などの紹介を通じて魅力を大体的に発信している。

これまでの地域振興は、現地へ行くことからしか始まらなかった。しかしメタバースの登場によって、まずはバーチャルでその土地のファンになり、イベントやワールドなどを通じて、やがてリアル観光やふるさとの納税という形で現実の地域を応援するルートが生まれた。これこそが、最も新しく、最も熱い地方創生の武器になっている。

最後に総括:VRは現実を豊かにする「拡張現実」の入り口

これまで5つの項目にわたり、VRChatをはじめとするVRSNSでの体験が、いかに私たちの購買行動やライフスタイルに影響を与えているかについて考察してきた。

かつてメタバースやVRは、「現実から逃避して、デジタルの世界に閉じこもるための場所」だと思われがちだ。しかし、今回紹介した数々の具体例や、株式会社Vらの調査レポートが示している現実は、全く逆である。

なぜ、バーチャルでの体験が現実世界の購買行動やライフスタイルにこれほどの影響をもたらしているのか。その理由は、今回紐解いた以下の5点に集約される。

・コミュニティによる口コミ:信頼できるフレンドの生の声が、リアルの物欲をダイレクトに刺激する点。

・友達とのプレイ体験:企業ワールドでの楽しい思い出が、現実世界での商品購入へと自然につながる点。

・Vketのパラリアル効果:日常の指名買いや機材投資、そして「仲間と会うためのリアルな旅」を生み出す点。

・ユーザーメイドの聖地化:個人が作ったワールドが、現実のお店やランドマークへの聖地巡礼を巻き起こす点。

・自治体独自の取り組み:日常のイベントやワールドを通じて、新しい地域経済や関係人口の輪を広げる点。

このように、ユーザーたちの純粋な「ワクワク」を通じて、メタバースは現実世界の消費を刺激し、ライフスタイルを彩り、時には地方の経済までをも元気に変えていく。つまりメタバースとは、私たちの現実をより面白く、より豊かにアップデートしてくれる「拡張現実の入り口」に他ならないのだ。

今後、あなたがVRChatのワールドでフレンドと過ごす何気ない時間の中に、未来の新しいリアルな体験へのきっかけが、きっと隠れているはずだ。

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